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2016年10月15日土曜日

ダンス・カンパニー「DAZZLE」の新作「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」



昨日、ダンス・カンパニー「DAZZLE」の新作「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」を見てきました。

これまで映像は見たことがあったのですが、DAZZLEの公演を生で見るのは初めてです。ダンスに関しては素人で、世界的な水準がどういうものかはわかりませんが、韓流のBGやGGのパフォーマンスをよく見る私の眼には、やはり徹底的に磨き上げられ、メンバー全員の動きは完璧に決まっているように思えました。

この公演でダンス以外で特筆すべきは、演出と音楽です。

前作「二重ノ裁ク者」でも、狭いステージを驚くほど広く、奥行きのある空間にする演出に驚いたのですが、今回は前作を遥かに上回る演出でした。次元が一つ上がってました。小道具の使い方、映像の使いから、舞台空間の分割の仕方、どれも本当に斬新だった。演出の長谷川達也のずば抜けた才能を感じます。

音楽は前作同様、元新体操選手でドラマ音楽を数多く手掛けている作曲家の林ゆうき氏。今回の音楽も世界観にぴったり合っているのはもちろん、ダンスに完璧にあっていました。音楽に合わせて踊っているのか、踊りに合わせて音楽が作曲されているのか、分からなくなるほど決まっていた。

ダンスも音楽も演出も素晴らしいのに、残念なのが物語の世界設定で、著しく物語のリアリティーを損なっていました。

「大気は汚染され、海も涸れ果てた世界」。

イメージとしては強烈ですが、寓話だとしても乱暴すぎです。「海が涸れ果てる」ほどの巨大な熱エネルギーが地球に加えられたら、全生命が死滅してしまう。「環境汚染による気候変動で世界的に干魃が続き水不足になった」くらいで良かったんじゃないかなぁ。

物語は、2部構成で、1部と2部の合間に、観客はある選択を迫られます。本当にある行為をして選ぶんです。どちらを選ぶかによって最終部の物語が変わります。RPGなどではよくあるマルチエンディング方式ですが、ダンスの公演でこの試みはユニークだと思いました。

昨日の公演では、私の選択は少数派で、違う選択の結末を見ました。このエンディングの演出が意表を突く衝撃的なものでした。もう少し詳しく書きたいのですが、ネタバレになってはいけないので、このくらいにしておきます。

もう一つの物語はどうなるんだろう?映像作品でもいいから、ぜひ見てみたい。


オフィシャルサイト

2016年9月2日金曜日

ダンスカンパニーDAZZLEの新作「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」の記者会見



ハイレベルなダンスと物語を融合させた独特なステージで注目されているダンスカンパニーDAZZLE。

今年で結成20年で、記念公演として新作「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」を上演する。その記者会見が昨日、都内で行われ、それを見てきました。

最初に、小さなステージで新作の抜粋として十数分間のパフォーマンスが行われた。これまでDAZZLEのパフォーマンスは、DVDやスクリーンで見たことはあったが、生で見るのは初めて。完璧に息の合ったダンスはやはりさすがです。

その後DAZZLEメンバーが、新作と結成20周年の思いと今後の抱負を語った。主催の長谷川達也をはじめメンバー全員が、グループの表現と可能性に絶対の自信を持っていることが言葉の端々に現れていたのが印象的でした。

新作は、環境破壊の末に水が希少になった近未来が舞台で、残る水を求めて争う人類を見つめる「人魚」の物語らしい。物語は観客の2回の選択によって複数に分岐するそうだ。

DAZZLEのステージはダークな世界設定が多く、私はその動機に興味を持っていました。記者会見で長谷川は、残酷な表現などで逆に平穏な日常の大切さに気がついてくれれば、という意味の発言をしていて、「なるほど、そうだったのか」と納得しました。

彼らのステージの素晴らしさは、もちろんダンス・パフォーマンスですが、音楽がまたいいんですよね。以前から担当しているのは林ゆうき。元新体操の選手で、ドラマ「あさが来た」「リーガルハイ」シリーズ、映画「ONE PIECE FILM GOLD」などで知られる人気作曲家です。

林も途中から記者会見に登場、制作裏話などを披露してくれた。印象的だったのが、長谷川の頭の中で、物語のひとコマひとコマに流れる音楽のイメージが鮮明に、完璧に出来上がっているという指摘。それを形にしていくのが自分の仕事で「修行のようだけど、達成感がある」と語っていました。

新作、見るのが楽しみだ。公演は10月14日から。詳細はこちらを。
http://www.dazzle-net.jp/news32.html

2016年3月15日火曜日

米国の不動産・金融崩壊にすべてを賭けた男たちの逆転劇 「マネー・ショート」



今でも記憶に生々しいアメリカのサブプライム住宅ローン危機とその数十倍の規模で世界を襲った金融危機。その渦中にあって、不動産市場の崩壊を冷静に見越して、ボロ儲けした男たちの映画「マネーショート」を見てきました。

私はこの映画には出てきませんが、サブプライム住宅ローン危機で150億ドルを稼ぎ出すという奇跡を成し遂げた投資家ジョン・ポールソンの物語「史上最大のボロ儲け」をだいぶ前に読んでいたので、物語自体にはほとんど新鮮さを感じませんでした。

でもリーマンショックの時、本当に世界の金融システムが崩壊して、日本経済も吹っ飛ぶんじゃなかろうか、とまじでビビッた日々を思い出したw

意味不明の日本語英語のタイトルが付いていますが、原題は「The Big Short」。ショートは「空売り」のことで、「大規模な空売り」という意味です。原作には「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」という実にピッタリの邦題がついてるんだから、そのまま流用すればよかったのに。

サブプライム住宅ローン危機で大もうけした一握りの人たちは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)という金融商品で、実質的な空売りをかけたんです。

私もあまり詳しくないのですが、当時、サブプライムローンなどの不動産ローンを集めてミンチにして証券化した不動産担保証券(MBS)のデリバティブであるCDO、さらにそのデリバティブなどが世界中に出回っていました。複雑に合成されたデリバティブに、どのくらいの不良な債権が紛れ込んでいるのか、専門家にもわからない状態になっていた。

そのデリバティブの保険がCDSです。

不動産バブルが崩壊すれば、デリバティブがデフォルトする危険性が一気に高まるので、その保険であるCDSの値段が買ったときの数十倍に跳ね上がる。それを売り抜けて「史上最大のボロ儲け」をしたわけです。

映画では、CDOなどのデリバティブの仕組みを、積み木のモデルを使ったり、有名シェフが古い魚でシチューを作ることに例えたり、カジノのブラックジャックとそのプレイヤーにかける観客などに例えて、何とか理解させようと頑張ってましたw

あまり経済に興味のないカミさんも一緒に見たのですが、「なんとなく大まかな仕組みはわかった」と言ってたので、その試みはまずまず成功だったと言ってもいいでしょう。

最大の成功を収めたのはジョン・ポールソンですが、サブプライム住宅ローン危機を最初に見抜き、CDSによる「空売り」戦略を組上げたのは、クリスチャン・ベールが演じていた医師で投資ファンドマネージャーのマイケル・バリーでした。

しかしバリーは「空売り」を仕掛けるタイミングが早すぎたこと、顧客をきちんと説得できなかったことなどから、投資家たちがファンドから資金を引き揚げてしまい、莫大な利益を上げたものの、ポールソンのような「完全勝利」を収めることはできませんでした。映画ではその「苦い勝利」が印象的に描かれていた。

この「空売り」は、別の側面から見れば、何百万人もの人が家を失い、失業し、年金が破綻し、金融恐慌が起きることに全てを賭ける大ばくちでした。映画では、そのダークな側面もきちんと描かれていたのも良かったです。


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ところで「マネーショート」のエンドロールにはLed Zeppelinの「When The Levee Breaks」がフルで、爆音で、流れます。「天国への階段」が入ってる「4」の最後の曲(ホントはB面の最後と言いたい!)。すごくいい音で、一瞬、録り直したんじゃないかと思った。

Levee は「堤防」のこと。「堤防が決壊する時」、確かにこの映画にぴったりです。予告編にも使われているのですが、曲の使用許可を取るのにえらく苦労したそうです。ジミー・ペイジがどこにいるのか、予告編公開の直前までどうしてもわからなかったらしいw

ケチで悪名高い、ジミー・ペイジのこと、無断で使用したらえらいことになる!でも予告編公開を遅らせることはできない……。ギリギリで片田舎のパブにいるところを見つけ、OKを取ったそうです。

「エンドタイトルで使用する際は、一切編集はまかりならん」という条件付だったため、7分08秒、たっぷり超ヘヴィーなブルーズロックを堪能できましたw


2016年1月29日金曜日

LABOUMの「AALOW AALOW」、「M!Countdown」で初ベスト10入り

チキチャー!

おお~!ついにやった。(*゚▽゚)/゚・:*【祝】*:・゚\(゚▽゚*) 密かに応援している韓国のガールズグループ「LABOUM」の最新シングル「AALOW AALOW」が音楽番組「M!Countdown」でついにベスト10入りした。


昨年12月初めにリリースされてから、ジワジワと順位をアップ。ちょっとクセになる「チキチャー!」っていう合いの手が受けたかな?2カ月でついに9位になったw

LABOUMは、歌唱力も、ダンスも、ルックスも決して超一流じゃないけど、メンバー6人のキャラがそれぞれ立っていて、声のアンサンブルもなかなかいい。メンバーの名前もすぐに覚えられた。

セクシーさや清純ぶりっ子で男に媚びるんじゃなくて、健康的で、ちょっとコミカルな明るさと多彩な表現が魅力。14年夏にデビューして、そこそこいい曲を出しているんだけど、今一つブレイクできなかった。チャートでトップ10入りするのはもちろん今回がはじめて。

ついにB級アイドル卒業かな?w

\(^o^)>チキチャー!

2015年11月9日月曜日

ダンスカンパニー「DAZZLE」の「二重ノ裁ク者」 DVDプレミア上映会



先日、関係者の方のお招きで「DAZZLE」というダンス・カンパニーの「二重ノ裁ク者」という作品を東銀座の東劇で見てきました。公演を生で見たわけではなく、作品を収録したDVDのプレミア上映会です。

現在のダンス・グループの公演がどのようなもので、表現レベルの水準がどれほどのものか全く知らない白紙状態で見てきました。

一言でいうと、かなり心を動かされ、パフォーマンスに引き込まれました。

物語は、架空の世界の全体主義国家における独裁者の息子と彼の家庭教師、そして父親との関係を描いたもの。正直に言うと、ストーリー自体は表面的で、あまり面白くないんです。でもそれを批判するのは意味がないし、ストーリーが作品の価値に占める割合は低い。

しかし、その物語を表現したダンス、音楽、舞台演出の総合は、映像・音楽的に圧倒的パワーがあり、美しかったです。そして主人公が(作者が?)心の深いところで感じている痛みのような複雑な感情はリアルに伝わってきました。

8人の正式メンバーと数人のゲストによるダンスの斬新さ、複雑さに、素人の私はかなり感銘を受けました。場面ひとつひとつの振付けはメンバー全員で練り上げ、演出は主宰の長谷川達也氏が担当したそうです。ボトルや新聞、旗などの小道具を使った演出も楽しかった。

ダンスの技術的な水準はわからないのですが、振り付けと演出の動きの一つ一つに膨大な時間をかけ、推敲されたものであることは私にも分かりました。「神は細部に宿る」というのは、建築を評した言葉だったと記憶しますが、この作品の魅力も徹底的に磨き上げられたディテールにあります。

そのダンスの素晴らしさを増幅しているのが音楽。全て長谷川氏がディレクトした各場面の曲想に基づいて作曲されたオリジナル曲だそうです。作曲はドラマ音楽を数多く手掛けている作曲家の林ゆうき氏です。

ピーター・ガブリエルやデヴィッド・リンチの作品の音楽を担当しているアンジェロ・バダラメンティを彷彿させる不気味なノイズが入ったダークな曲、ハウス風の透明感のある曲……どれも場面にマッチしていました。

光と影のコントラストを活かした複雑な照明も、狭いステージを驚くほど広く、奥行きのある空間に感じさせていました。

1つ例を上げると、強制収容所で囚人たちが、シャワー室で週一の入浴を楽しんでいる時に、毒ガスによって処刑されるというシークエンスがあります。ナチスのユダヤ人絶滅収容所からヒントを得たのがすぐわかるエピソードですが、そのパフォーマンスはすごかった。

久しぶりの入浴の喜びを表現したダンス、軽快な音楽、強烈な影によるシャワー室を描写は実に生き生きとしています。そして足元からがガスが流れ始め、真っ赤に照らされたシャワー室で、重低音が流れる中、囚人たち折り重なるように死んでゆく……その演劇的な効果は戦慄的でした。

最後にもう一つ、忘れてはいけないのがナレーション。なんと俳優の浅野忠信が担当しています。きっと、DAZZLEの才能に心を動かされて一肌脱いだに違いありませんw
その語りの素晴らしさは書くまでもないでしょう。

まあ、百聞は一見にしかず、YouTubeにトレーラーが公開されているので、よかったら見てみてください。DVDの正式リリースは12月17日。



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「DAZZLE」はもう19年のキャリアがあるダンス・カンパニーだそうです。こんなに豊かな表現力のあるパフォーマーたちがいたとは、まるで知りませんでした。



DAZZLE公式サイト
http://www.dazzle-net.jp/


2015年11月2日月曜日

「トンイ」についてのあれこれ





ハン・ヒョジュのニュースに便乗して、「トンイ」に関するあれこれを。

NHKで「トンイ」が放映された時に乗り損ねてしまった私は、遅ればせながら、チャンネル銀河での再放送にハマッています。

まだ終わってないけど、面白いドラマでした。

17世紀後半の李氏朝鮮の宮廷を舞台に、幼い頃、父と兄を冤罪で殺されたトンイが、宮廷に入り、最底辺の奴卑から第19代国王粛宗の側室に、さらに産んだ子供が第21代国王、英祖になり「王の母」になる、という一種のシンデレラ・ストーリー。

それに宮廷内の熾烈な権力抗争、敵が仕掛ける陰謀を解明するときの推理小説的なおもしろさが加わって、なかなかエキサイティングなエンターテインメント時代劇になっていました。




権力の毒に染まらず、あくまでおのれの正義を貫くトンイが魅力的だったのはもちろんですが、宿敵のオクチョンも捨てがたい魅力がありました。イ・ソヨンという若い頃の若村麻由美に似た女優が演じているのですが、なかなかしびれる悪女ッぷりで、密かにファンでしたw

王の側室で、陰謀により王妃を廃位に追い込み、自分が王妃に取って代った女で、正式には禧嬪張氏。「朝鮮三大悪女」の1人として知られています。

最初は、王の寵愛を受け、美しく聡明で正義感もある魅力的な女性として登場するのですが、陰惨な権力抗争の中で悪魔に魂を売り、女マイケル・コルレオーネのような悪女に変貌してゆく。

トンイとの対立が鮮明になった頃、オクチョンは、こんな不気味な政治哲学を披露します。

「許しは……力なき者が力ある者に請うのだ。罪の有無は関係ない。生き残るにはそうするしかないのだ」

「力のある者が何食わぬ顔で弱い者を虐げる理由は何だと思う? それが力というもの、権力というものだからだ」

現代の韓国における政治思想にもこのオクチョンの考えは脈々と流れているような気がしないでもありません。

慰安婦問題や強制労働の問題の一連の流れを見ていると、事の善し悪しや、事実か否かではなく、パワーゲームの中でわが意思を日本に強要できれば何でもかまわない、と考えているんじゃないか、と疑いたくなる時があります。

徹底的に元、明、清などの中国王朝に虐げられ、日本からは併合によって実質的な植民地支配の屈辱をなめさせられ、常に理不尽な要求を呑まされてきた歴史から生まれてた思想かもしれません。

話が大きくそれてしまいました。



土曜放送分では、トンイを繰り返し殺そうとしたオクチョンが王の賜薬により処刑される件が描かれました。自分の息子の安泰を泣きながら、かき口説くように頼んだ相手がトンイだったというのが何とも憐れでした。

残すはあと4回。トンイと息子のヨニングン(後の英祖)を追い落とそうとするチャン・ムヨル一派との戦いがたぶん最後の山になるのでしょう。

楽しみです。

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トンイの話でもう一つ。



オクチョンの母親ユン氏の侍女が地味だけど、ちょっと気になる美女でした。ユン氏が登場するたびに、映るので結構な頻度で登場したのですが、セリフはほとんどなかった。でも、毎回、気になっていました。

物語ではその末路は描かれなかったけど、ユン氏も処刑されたので悲惨な運命をたどったんだろうなぁ……

演じているのはチェ・イェジンっていう女優なのですが、こちらもあまり情報がない。

トンイ終了後にチャンネル銀河で放映される「イ・サン」にもサン付きの尚宮として登場するらしいので、こちらも密かに楽しみです。





2015年6月29日月曜日

プログレの名ベーシスト、イエスのクリス・スクワイア死去



イエスのベーシスト&ヴォーカル、クリス・スクワイアが亡くなった。1カ月前に急性骨髄白血病で闘病していると発表したばかりだった。67歳。

ピックで弾く固い音、メロディアスでドライヴ感のあるベースプレイと美しいハーモニーが素晴らしかった。複雑なリズムをノリノリで弾いていた姿が懐かしい。

中学生の時にライブアルバム「Yessongs」の「Long Distance Runaround - The Fish」を聴いたときの衝撃は今も鮮明です。




中学・高校時代、現実から逃避してイエスの音楽に耽溺し、どれほど至福の時を過ごしたことか。

クリスよ、ありがとう、安らかに。

2015年6月15日月曜日

NBAバレエ団の「HIBARI」 美空ひばりの一生をバレエで再現



昨日、ある方からのご招待でNBAバレエ団の「HIBARI」を観てきました。

米国のコリオグラファー、リン・テイラー・コーベットが美空ひばりのドキュメンタリー番組に感銘を受け、美空ひばりの歌を使って、彼女の一生をバレエの舞台化した作品です。

山岸凉子のバレエコミック「テレプシコーラ」のファンで一度、バレエを生で見てみたいものだと思っていたので、喜んで見に行きました。

バレエの公演を生で見るのは初めて。とんちんかんな感想になっているかもですが、感じたことを書いてみます。

美空ひばりとバレエ……一体どんなものになるんだろう?想像もつかないまま、見に行ったのですが、素晴らしかった!見事に美空ひばりの一生を舞台化した作品でした。

何よりも心を動かされたのがコーベットの振付による踊り。当たり前ですが、いわゆる歌唱ショーなどのバックダンサーの踊りとは全然違う。鍛え上げられたバレエダンサーの身体の動きの美しさとダイナミックさに魅了されました。美空ひばりの歌の本質を踊りで表現したら、こうなるのか!と感銘を受けました。

ステージは、背景のスクリーンやパネルに美空ひばりの様々な映像やイメージ画像が映し出され、それとダンサーたちの踊りが重ねられて、一体感のある空間が作りだされていました。

美空ひばりが歌っているので、音楽が素晴らしいのはもちろんですが、選曲もすごく良かった。さらに選んだ曲のテイクも良かった。ライブテイクが多かったのですが、美空ひばりのライブ自体がこんなに素晴らしかったか、と改めて感銘を受けました。ライブ音源だから、時々手拍子が入るのですが、気が付くと手拍子がすごく大きくなっている。周りを見回したら、観客が手拍子をしていた!

個人的には、バックスクリーンに映し出された大きな落日のイメージを背景に5人のダンサーが踊る、「真赤な太陽」が良かったです。やはりライブテイクが使用され、最初はスローに始まり、テンポが2回早まるアレンジで、それに合わせて踊りもドラマティックに変化。かっこよかった!



もう1つ特筆すべきは、舞台の進行役でゲスト出演した元宝塚宙組のスター、和央ようか。宝塚の大スターのオーラは強烈ですね。ステージに出てくるだけで花がある。

それに大変な歌唱力。「悲しい酒」ではひばりの主旋律にハーモニーをつけ、「愛燦燦」をソロで歌い上げたのですが、本家の歌と比較しても遜色がなかったのには、ぶったまげたw

「川の流れのように」をフィナーレに使わずに、カーテンコールで流したのも粋だった。満場のスタンディングオベーションでした。

それにしても、バレエでこんなことができるのか、と強く感銘を受けたとともに、総合芸術としてのバレエの新しい可能性を示唆しているようにも感じたパフォーマンスでした。


情報ソース
http://nbaballet.org/performance/2015/hibari/index.html

2015年4月22日水曜日

「中国のファンクラブ 元少女時代ジェシカの誕生日を全面広告で祝う」の後日談

「昨年秋に少女時代を脱退したジェシカの誕生日を、彼女の中国のファンクラブ、JSY Bar Chinaが、東亜日報に1面広告を出して祝った」という先日の投稿の後日談。


あの投稿をコンパクトに編集した短い記事が、21日発行の日刊ゲンダイに掲載されたのですが……なんとその日のうちにその記事を、同ファンクラブが中国版ツイッター、微博に翻訳して転載していました。

http://www.weibo.com/2074627987/CelSwkY4F

正直、私は腰を抜かしました。

日刊ゲンダイは、関東・関西・札幌だけで発行されているタブロイドです。その小さな記事すら見逃さないとは……中国のジェシカ・ファン、恐るべし!


関連記事
中国のファンクラブ 元少女時代ジェシカの誕生日を全面広告で祝う
http://mitsuhikosuzuki.blogspot.jp/2015/04/blog-post_20.html

2015年3月4日水曜日

少女時代サニーの「歴史を忘れた民族に未来はない」の真意は……



少女時代のサニーが1日、インスタグラムに韓国の国旗の写真を「歴史を忘れた民族に未来はない」というキャプションをつけて投稿した件で、大炎上が収まらない。

投稿には3日間で約15万8000の「いいね」がつき、1万7500件以上のコメントが書き込まれた。2ちゃんねる風に言えば、なんと18スレッドが消費されたことになる。

私もコンサートに行くほどじゃないけど、日本語盤・韓国語盤、テティソも含めCDが出るたびに買うくらいには少女時代のファンなので、問題となっている投稿のコメント欄での、韓国人、日本人、それ以外の国の人々のやり取りをウォッチし、何人かの韓国人などと英語でやり取りもしてみた。

それで分かったのは、「歴史を忘れた民族に未来はない」という言葉に対する韓国人と日本人の信じがたい認識のギャップだ。

日本では朴槿惠大統領が演説で引用して日本の歴史認識を批判したり、13年のサッカーの日韓戦で韓国人サポーターがこの言葉を書いた横断幕を掲げた“事件”などの影響で、反日スローガンとして広く認識されている。「民族」が日本人を指していると思うと、「歴史を忘れたのはどっちだ!」という反感がムラムラと湧いてくる人も多いだろう。

だからこれまで日本で強い支持を受けていた少女時代のサニーが、この言葉を投稿した時、日本のファンはショックを受け、裏切られたような気持ちになった。

ところが、インスタグラムでのやりとりでわかったことだが、驚いたことに、韓国人の大半は、日本でこの言葉が強烈な反日スローガンとして受け止められていることをまったく知らないようなのだ。悪い冗談のようだが、本当だ。

だからインスタグラムにおける日本人の抗議や怒りの書き込みは、韓国人からもそのほかの国の人々からも、まったく不可解な、理解できないものとして受け止められている。「なんで韓国の独立記念日の話にお前ら日本人が怒ってやってくるんだよ」という反応がほとんどなのだ。


ある韓国人からこう質問された。

「そもそもなぜ、日本のファンはこのメッセージが彼らに対するものだと思うのだろう?韓国語で書かれた、韓国の国旗と共に、韓国人に向けられたメッセージなのに」

私が日本での事情を説明し、少女時代のメンバーのコメントはファンによってすぐに翻訳される、みんなサニーの反日メッセージに傷ついているんだ、と返すと、さらに

「でもこの言葉は、日本の植民地時代に自戒の言葉として使われたものなんだ。今でも学校の歴史教育でひんぱんに使われる。韓国人がこの言葉を聞いてまず心によぎるのは、間違いを繰り返さないために、我々は過去を忘れてはいけない、という思いです。他人を批判する言葉じゃなく、自戒の言葉なんです。これが政治的メッセージじゃないことをほかの日本人に伝えてもらえるとうれしい」

この言葉は、もともとは日本統治時代の思想家、申采浩が自国民に向けた戒めと激励の言葉とされている。「されている」というのは、申采浩の著書にこの言葉がないからで、彼の支持者がチャーチルの似たような言葉を、申采浩の言葉として流布させたのではないか、との説もある。

こうした事実は知っていたけど、この言葉が韓国でそんなにも人口に膾炙し、独立記念日の「三一節」などで人々が口にする言葉だとは、知らなかった。また別の韓国人からはこんな指摘もされた。

「だいたいサニーが反日なわけない。彼女は日本の国旗と韓国の国旗がプリントされたスウェットシャツを持ってるんだよ。それに自分を愛してくれるファンを侮辱するほど愚かじゃないし、日本のファンを感謝するふりをする偽善者でもない。日本のファンにはサニーの本当の気持ちと意図を理解してほしい」

さらに近年、韓国では「三一節」の意味も知らず、ほとんど興味を持たない若者が増えているそうで、サニーはそうした事態も懸念してあの投稿をしたんじゃないか、という意見もあった。

ただ、サニー本人はこの事態をどう考えているんだろう?日本では深刻な誤解が生じているし、この状態を放置していると、反日のレッテルを張られる恐れがある。この言葉が日本で反日スローガンと認識されていることを知らなかったのなら、そう日本のファンに自分の口で説明するべきじゃないだろうか?この疑問を先の韓国人にぶつけてみたところ、こんな推測を語ってくれた。

「もしサニーが何らかの釈明をしたら必ず『親日』として叩かれるだろうね。韓国にいる間は、彼女はこの問題を語れる立場じゃないことを日本のファンに理解してほしい。(所属事務所の)SMも彼女にこの件に関してコメントしないように指示していると思う。4月に日本に行ったときに、この件に関して説明するかもしれないな」

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この件に関する最初の投稿で、私はサニーにかなり懐疑的なことを書いたけど、やはり私も誤解していたようだ。見解を変えました。

はっきりしたのは、「歴史を忘れた民族に未来はない」という言葉が、日本で反日スローガンとして認識されていることを韓国人の大半が知らないこと。一般の韓国人が知らないことは、おそらくサニーも知らないであろうこと。サニーの投稿には反日メッセージの意図はなく、日本のファンを傷つけることなど夢にも思わず、素朴な愛国心からあの投稿をしたんだと思うようになった。

よく考えてみれば、少女時代は4月に新曲をリリースし、プロモートに来日することが決まっているのに、日本を意図的に侮辱するわけがない。

ただ韓国での愛国心は反日感情と密接に結びついているので、日本における彼女へのバッシングはしばらく収まらないかもしれない。少女時代全体へ悪影響もあるだろう。そのあたりはSMも充分理解しているだろうから、来日までに、彼女ができるだけ傷つかない方法で事態を収拾するんじゃないだろうか。

2014年12月4日木曜日

IU、MAMAで最優秀女性アーティスト!彼女の2014年を振り返る&新曲「膝」

香港で3日夜、行われた「2014 MAMA(2014 Mnet Asian Music Awards)」で、IU(21)が「優秀女性アーティスト」と「最も人気があるヴォーカリスト」で二冠達成!\(^o^)/

たぶん彼女の父親と同じ世代の、熱狂的なサムチョンペン(おじさんファン)としては、わが娘のことのように誇らしいw

IUは受賞スピーチで「ことしは本当にたくさん歌った。歌を歌うことが楽しいんだと改めて気づかせてくれた、たくさんの歌手や先輩方に感謝します」とコメント。

IUは今年、オリジナルアルバムこそなかったが、驚異的な完成度のカバーアルバム、OST、フィーチャリングと、確かにタイトルにふさわしい大活躍だった。

良い機会なので今年のIUの活動を振り返ってみましょう。

まずは、IUのシンガーソングライターの才能を世に知らしめ、代表曲のひとつにもなった昨年末のシングル「金曜日に会いましょう」。





チャン・グンソクと共演したドラマ「キレイな男」のOST「クレパス」





同じ事務所の後輩グループHIGH4のデビュー曲「春、恋、桜じゃなくて」にゲスト参加して援護射撃。





そして、80~90年代の韓国の名曲をカバーしたアルバム「花のしおり」。IUのそれぞれの曲の魅力を把握して、独自に表現する力は圧倒的。この成熟した女性歌手が20歳そこそこの女の子だなんて信じられない。
IUよ、あまり早く大人にならないでくれ。
まずはキム・チャンワンの「君の意味」。




同じアルバムからチョ・ドクベの「私の昔話」




ULALA SESSIONの「会いたい気持ち」。ULALA SESSIONのイム・ユンテクが昨年2月に癌のため32歳の若さで亡くなったため、ユンテクの死に乗ずるような売り方をしたくなかったからリリースを今年の夏まで延期していた曲。良い曲だ。




IUも大ファンだったというGODの「歌を歌って」でフィーチャリング





軍政時代に引き裂かれた初恋の記憶を歌ったソ・テジの「昭格洞(ソギョクドン)」





やはり後輩のユン・ヒョンサンとデュエット「いつ頃」。これも良い曲




MAMAで、IUは「金曜日に会いましょう」の他、10月に医療事故で亡くなったシン・ヘチョルの追悼コーナーで、彼の「飛べ、ヒヨコよ」をオーケストラをバックに歌った。





来年は、ぜひ、オリジナルのフルアルバムを!

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とか書いていたら、新曲がYouTubeで公開された! タイトルの무릎って「膝」のこと。

 


早くも歌詞の英訳を見つけたので、訳しておきます。
重訳だから、細かな違いはお許しを。
全体的な感じだけでも

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膝 

誰もが寝静まった夜、私はひとり座って思いにふけっている
過ぎ去った日々を過去にできなくて、目を覚ましている
私は誰かを待っているの?それとも解決しなければならないことが残っているの?
もしそうでなければ、そこは私が戻ることを願い、
愛情を込めて懐かしく想い、折に触れて思い出す場所になるの?

子供の頃のように、横たわってあなたのももに頭を乗せたら
あなたは私の髪を耳にかけてくれる
あなたに手を触れられて、うつらうつらしているのなら、
しばらくそのままにしておいて
起こさないで、深く深く眠るから

あなたの穏やかな瞳に見つめられたら
今でも前のように心から微笑むことができるかな?
疲れたような気がする、本当に長い間頑張ってきたから
あなたの元に戻る近道があれば良いのに

子供の頃のように、横たわってあなたのももに頭を乗せたら
あなたは私の髪を耳にかけてくれる
あなたに手を触れられて、うつらうつらしているのなら、
しばらくそのままにしておいて
起こさないで、深く深く眠るから
深く深く眠るから

2014年10月11日土曜日

時代に引き裂かれた初恋の記憶 IUとソ・テジの斬新なコラボ「昭格洞(ソギョクドン)」



90年代以降、韓国社会に大きな影響を与え、「文化大統領」と呼ばれる歌手ソ・テジ(写真左=42)のカムバック曲「昭格洞(ソギョクドン)」の音源とMVがリリースされ、韓国内でその歌詞と映像の解釈が話題です。

この曲はまずは韓国の若手女性シンガーで最も人気のあるIU(同右=21)が歌うヴァージョンの音源とMVが先行公開され、1週間ほど間をおいてソ・テジのヴァージョンがリリースされました。

MVでは、80年代初頭のソウル鍾路区ソギョクドンを舞台に、比較的豊かな家庭の少年と謎の少女の悲しい初恋の物語が、2人の異なった視点で描かれています。

少女の視点で描かれた物語(IUヴァージョン)の大きな謎が、少年の視点で描かれた物語(ソ・テジ・ヴァージョン)により明らかにされる、という巧妙な仕掛けになっていました。

まず歌詞の翻訳を(英訳からの重訳なので、細部は違うかもしれません。原詩がわかる方、間違いがあったらご指摘ください)。

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昭格洞(ソギョクドン)

狭い裏路地の階段をひとり、降りてゆく
いつもあなたと一緒に降りていた階段道
過去の強い香りがかすめてゆく

あなたが去った日、本当は僕は……

灯り、ひさしから垂れる氷柱、そしてスズメのさえずり
この美しい街にとどまりたい
昭格洞(ソギョクドン)を憶えている?
今もあの時と同じままだよ

深夜に白い雪が降っていたね
雪が積もるにつれて、心は期待で揺れ動く
あの晩は一睡もできなかった
目を開けたら、すべてが消えてしまいそうで

ある日、小川が干上がり、僕の幼い心も死んだ
小川の水のように
あなたのことはすべて憶えている

ほんの一瞬が、一日を素晴らしいものにしてくれた
そしてある日、僕の世界はひっくり返った
あなたが今持っているものを大切にしてね
ほんの一瞬で消えてしまうかもしれないから

このことを忘れたくない、でも1枚の写真すら残っていない
ただ繰り返して自分に言い聞かせ、最善を尽くすだけ

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歌の内容を把握した上で、2人のMVを視聴してみましょう。

時代は1980年代前半、全斗煥の軍事政権下。休戦中の北朝鮮とは厳しい緊張状態にあり、北の空爆などに備えて、夜間の照明を落とす「灯火管制」の訓練が行われていた。MVで少女が少年に渡す灯火管制を通告するビラには「1981年9月17日」と書かれている。

まずはIUヴァージョン



少年が図書館から出てくる。道に倒れた少女が風車を拾い、少年が乗るタクシーに向かって走ってゆき、助手席に飛び乗る。運転手に行く先と告げ、ラジオからは何かの知らせるニュースが流れている。少女はひざをすりむいて血が流れている。タクシーが走り出す。

暗い坂道で、少年と少女が少しずつ親しくなっていく様子が、断片的に描かれる。親しくなった2人は階段に座り、体を寄せ合う。何かのニュースが流れ、少女が少年にキスをする。

ある日、少女は、階段道の下をクラスメートと歩いて学校に向かう少年にオリガミの鶴を渡す。自宅で少年が確認すると、鶴は灯火管制訓練を知らせるビラで折られていて、「夜、灯りが全部消えたら会いましょう」というメッセージが書かれていた。

そして訓練の開始を告げるサイレンが鳴り響く。

少年は懐中電灯を手に、階段道で少女の姿を探す。少女がオリ鶴を渡してくれたところで彼女を待つが、現れない。少女の家に行ってみると、荒れ果てた屋内には誰もいなかった。

訓練終了のサイレンが鳴り、近所の家に灯りがともる。そして雪が降りはじめ、少年は家に帰ってゆく……。

IUヴァージョンでは、「灯火管制の夜、なぜ少女とその一家は姿を消したのか?」が大きな謎として残ります。

次にソ・テジ・ヴァージョンを見てみましょう。


IUバージョンを補完するシーンを拾うと……

◎少女は図書館から出てくる少年を見ている。少女は少年を追いかけ、転ぶ。
◎車内にいる間、少女は風車を風に当て回し、少年に見せる。
◎階段のシークエンスで、少女は部屋からラジカセを持ち出す。室内には誰かが寝ている。
◎少女が折鶴の場所で少年を待っている時に、大勢の機動隊員が少女の家に急行するのが見える。
◎少女の前で男が機動隊員に身柄を拘束されるシーンが挿入される

タイトルのソギョクドンは何を意味するのか?

80年代、ソギョクドンには日本の戦前戦中の特高警察によく似た国軍機務司令部(DSC=当時の保安司令部)があり、反政府活動の弾圧を行っていました。

階段道で体を寄せ合う2人が聞くラジオのニュースは「緑化事業」に関するものだそうです。これは植林をして緑化しようという事業ではなく、赤のイデオロギー(共産主義)に染まった反政府活動家を、懲罰的に軍に徴兵し、過酷な訓練と強制労働で再教育するというプログラム。Wikiによると、反政府活動家、ホームレス、犯罪者、失業者ら約4万人が逮捕され、多数の死者が出たそうです。

映像で機動隊員に連行されているのは、おそらく少女の父親でしょう。反政府運動に関連して「緑化事業」で逮捕されたことを暗示しているように思えます。そして少女も親と共にどこかに連行され、姿を消した……

ここまで理解した上で、もう一度、歌詞を読み、MVを見ると、悲しい初恋の記憶を描くと同時に、軍政時代の重たい雰囲気を反映させた深い喪失の歌に思えてきます。

ソ・テジは少年時代、ソギョクドンに住んでいたそうです。1972年生まれなので、ちょうどMVに登場する少年とほぼ同年代。おそらく当時の記憶をもとにこの喪失の物語を歌にしたのでしょう。

時代に引き裂かれた少年と少女は、その後、巡り会うことができたのか?

MVでは物語の結末は描かれません。大人になった2人と思われるIUとソ・テジがそれぞれ、少女の家で、初恋の記憶の象徴である風車とオリガミの鶴を手に、静かに降る雪を見つめるだけです。


2014年9月30日火曜日

香港で行われている行政長官の自由直選制を要求するデモを支援しよう!

香港で行政長官の自由直選制を要求するデモ「雨傘革命」に参加しているDennis Cheungさんという女性が、「Hong Kongese : Please help Hong Kong」という動画をYouTubeにアップしていました。

香港で起きていることは、対岸の火事ではありません。今日は香港、明日は台湾、そして明後日は沖縄かもしれない。香港で第2の天安門事件を起こしてはいけません。

Dennis Cheungさんが動画で述べている主張の訳は次の通り。
彼女の主張に賛同され得る方、拡散して支援しましょう。



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今日は2014年9月28日午後10時前です。

本日未明、私を含め数千人の若い香港市民が政府庁舎前に極めて平和的に座り込みを行って、政府に本物の民主主義と正当な選挙を要求していました。

しかし、政府からはきちんとした回答はなく、銃、防弾装備、盾で武装した警官を送り込み、平和的なデモを排除しよとしたのです。

警察は私たちに危険な催涙スプレーを噴射し、罪のないな市民に催涙弾を撃ち込みました。そこら中で人々は涙を流し、叫び声を上げて、避難場所を求めて走り回っています。

私たちはみなさんと同じく無辜の市民です。私たちはただ政府庁舎内の人々を守ろうとしているのです。この地球で最も安全な都市で、シリアやウクライナや中国で起きたような悲劇に見舞われるのを見たくはありません。

これを見ているみなさんはたぶん民主的な国にお生まれだと思います。民主的な選挙が行われ、自由選挙権をお持ちだと思います。でも私たちはそうではないのです。

私たちには本当の民主主義が必要です。私たちが必要としているのは、憲法改正のための普及投票だけで、それ以上ではありません。

どうかこの動画を拡散させて、ニュースを世界に広めて私たちを助けてください。友人に、ご家族に、つきあいのある方々に話してください。香港で起きていることを知らせてください。ありがとうございました。

2014年7月27日日曜日

「her 世界でひとつの彼女」の挿入歌とIU


AI(人口知能)と中年男の疑似恋愛を描いた「her 世界でひとつの彼女」という映画。
ふたりの人間がお互いに、相手へ自己投影し錯覚し合う関係こそ恋愛で、自己投影するのが片方だけならそれは恋愛ではない……という恋愛の本質に迫る、なかなか面白いSF映画でした。



この映画の中で、主人公のホアキン・フェニックスがウクレレを弾き、声だけでAIを演じたスカーレット・ヨハンソンが歌う「The Moon Song (A Million Miles Away ) 」という曲が流れます。

恋人と月にいて、100万マイル離れた場所でふたりきり……という歌で、これがなかなか良かった。




ポーランド人と韓国人のハーフ、カレンOのオリジナル曲で、エンドロールには彼女のバージョンが流れます。





話は変わって、私が大好きな韓国の歌姫IU。

彼女は先日、親友の女優ユ・インナ(スンシンちゃんのお姉さん、ユシン!)がDJを務めるKBSラジオの番組「ユ・インナのボリュームをあげて」のピンチヒッターをやった。そのときの様子がYouTubeにアップされていたのですが……



番組の冒頭で、ギター弾きながら歌ったのがこれですわ。「The Moon Song (A Million Miles Away )」

おじさん、驚喜しましたwwww
IUはあの映画見たのかな?それとも韓国つながりのカレンOのオリジナルが気に入ったのか?きっと番組でそのことにふれたと思うけど、韓国語がわからなくて残念!

IUはギターで他人の曲をたくさんカバーしているけど、選曲のセンスがすごく良い。アンテナの感度が高い。時々、オリジナル曲も発表しているし、そのうち全曲オリジナルのアルバムも出るかも……。



2014年7月10日木曜日

「最高です!スンシンちゃん」とIU



放送開始からどっぷりハマって毎回楽しみに見ていたWOWOWの韓流ファミリードラマ「最高です!スンシンちゃん」が終了しました。1回1時間5分で、全50回という日本では考えられな規模の、実に大変な大河ファミリードラマで、「ついに終わったか~」とちょっと放心状態です。


左から長女のヘシン、次女のユシン、そしてスンシン

三人姉妹の末娘、スンシンを主人公に、それぞれの人生を描くドラマ。ストーリー展開はためにためて、これでもか!というくらいにくどくて濃い。こういうのは苦手なのですが、妙にハマってしまった。韓国人の心の動きが理解しがたい場面もずいぶんあったが、楽しませてもらいました。

ドラマには、スンシンを女優として育てようとする芸能事務所のシン代表の動機、スンシンの出生の秘密、そしてスンシンの父親がひき逃げされた時の状況、と3つの大きな秘密があり、物語の進行につれてその秘密が明かされていく。そのたびに、主人公を初めとする登場人物は傷つき、大騒ぎになります。

秘密そのものはそれほど大したものではない。関係者たちが心を開いて誠実に対応すれば、深刻な愛憎劇にエスカレートする話じゃないんです。

でも登場人物たちは、とにかく大切なことをひとり心の中に溜め込んで、親しい人間にも、愛する人間にも話さない。結局、そのせいで、秘密は第三者から明らかにされることになり、大ごとになってしまう。

これはこの脚本家のクセなのか、韓国人の特異性なのか……

もう一つ、驚いたのは、登場人物の感情表現の激しさ。家族や友達同士の、とく女性同士の口げんかのすさまじいこと、すさまじいこと。少なくとも私なら「その人間と一生、関係を断つ」くらいの悲壮な決意をしなければ口にできないことをバンバン言い合う。そのくせ、短時間ですぐに仲直りしちゃんですよねw

でもこの感情表現のむき出しの激しさが、このドラマの、ひいては韓流ドラマの魅力になっているのは間違いありません。普段、表に出さないような、生な感情の発露に、心をわしづかみにされて、ゆすぶられる。……これが妙に快感なんですよね。私は毎回、冗談のように泣かされましたw



スンシンは歌手のIU(21)が演じています。ちょっと鼻ぺちゃのおたふく顔なのですが、実に健気でかわいい。スンシンと先に書いた彼女を女優として育てる芸能事務所社長、シン・ジュノの恋愛関係の進展がメインストーリーの1つ。私はジュノに感情移入して、スンシンとの恋愛を疑似体験したような感じでした。

現実では、誰かを好きになって胸が痛くなるような気持ちになったのは、いつだったかもう忘れてしまうくらい昔のことだけど、そんな気持ちが蘇りました。この2人に、もう会えないのか、と思うとなんだか寂しい……

ドラマの原題は「最高だ、イ・スンシン」。ひき逃げにあって亡くなった父親が死の前にスンシンに1日遅れのバースデーケーキを予約していたのですが、葬儀の後で姉が持ち帰ったケーキに書かれていたセリフがこれ。

ドラマの最初のほうでスンシンは、芸能事務所の社長を騙る男から詐欺に遭って、自己嫌悪で落ち込みます。父親はそんなスンシンに「才能なんて無くても私の娘は最高だ、最高だ、イ・スンシン」という励ましのメッセージを残していて、それがそのままドラマのテーマにもなっています。

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ドラマが面白かったのも確かですが、個人的には歌手としてのIUを知ったことが最大の収穫でした。一体どんな歌手なんだろう、と思ってYouTubeなどでパフォーマンスを見て仰天しました。

最初に見たのは「スンシンちゃん」の一場面。オーディションで、スンシンが80年代にヒットしたイ・ヨンの「忘れられた季節」を歌うクリップです。



歌唱力や表現力がずば抜けているのはもちろんですが、声そのものが圧倒的です。素晴らしく伸びのある高音、そしてちょっとハスキーな中音。聴いていて非常に心地よい声で、不思議なヒーリング・パワーがある。

IUは2年ほど前に、日本でもデビューしたのですが、タイミングが悪かったか、プロモーションが悪かったか、ブレイクせずに終わったのが残念。

でもロングスパンで考えれば、IUがいつか日本でも評価される日も来るような気がします。というか、このまま成長すれば、アジアを代表する歌姫になるのではないか、と期待しています。

このことを音楽を専門にしている友人に話したら、笑われてしまいましたが、彼女の声には何か特別な「x-factor」があると信じています。ひいきの引き倒しかもしれませんが、まぁ、ファンというものはそういうもんですw



ファンの方には周知の通り、IUは韓国では「国民の妹」と呼ばれています。おそらくそのイメージが決定的になったのは「Good Day」という10年12月にリリースされた大ヒット曲。親しい年上の男性に、泣きながら告白したのに、聞こえないふりをされてしまった……という歌です。

歌詞では「私はオッパが好きなの」というフレーズが繰り返されます。オッパというのは、これに相当する適当な日本語がないのですが、女性が親しい年上の男性に使う言葉で、「おにいちゃん」みたいな意味らしい。韓国人の男は年下の女性から「オッパ」と呼ばれるのが大好きだとか。で、この曲を聴くと、男たちはIUから秘めた想いを告白されたような気持ちになるwww

もう一つ、この曲にはIUのトレードマークとなったパートがあります。最後の10秒以上続く高音のロングシャウトで、途中で2回、音程を上げることから、「3段ブースター」と呼ばれています。

最近では、80年代、90年代のヒット曲をリメイクした「花しおり」というミニアルバムをリリース。21歳の歌手とは思えない、成熟した歌を聴かせてくれています。個人的にはこのアルバムが一番好きかもしれない。

これからどこまで成長するのか、楽しみで仕方ありません。

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脱線ついでにもう一つ。

ヒロインの名前「イ・スンシン」、漢字表記は李純信ですが、ハングルで表記すると「이순신」。秀吉の朝鮮出兵の際に、朝鮮水軍を指揮して日本軍と戦った朝鮮民族の英雄、李舜臣と全く同じです。ドラマではこの名前をネタにした場面が何回も出てきました。

私は李舜臣を主人公にした小説「孤将」をしばらく前に買って、積ん読状態だったのですが、ドラマでそのことを思い出し読んでみました。こちらも面白かった。

全て李舜臣の主観で描かれている作品で、秀吉の朝鮮出兵を朝鮮側から知るのは、興味深かかった。戦争小説としても非常に秀逸。500年前の無意味な、血生臭い殺し合いがリアルに再現されています。

韓国の作家金薫の作品で、翻訳は北朝鮮拉致被害者の蓮池薫さんです。

2014年7月2日水曜日

IUとULALA SESSIONの故イム・ユンテクのデュエット曲がヒットチャートを席巻



わたしは韓国の歌姫IUの大ファンなのですが、彼女と昨年2月に癌のため32歳の若さで亡くなったULALA SESSIONのイム・ユンテクのデュエット曲「애타는 마음 待ち遠しい気持ち」が30日にリリースされ、韓国のヒットチャートを席巻してるそうです。

6つの音楽配信チャートで1位。YouTubeで聴いてみたのですが、ドライヴ感あふれるロック・ナンバーです。





サウンドは、マシンを使ったデモ段階のように感じるけど、わざとそういうテイストにしたのかもしれない。

IUが良いのはもちろんだけど、ユンテクのヴォーカルが素晴らしさにグッときました。
ちょっと喉に負担をかけながらシャウトする昔ながらのロックの歌い方。私のようなおじさんロック野郎はこういうのが大好きです。

こんなスゴイ才能がいて、亡くなっていたなんて、全然知らなかった。

録音は12年冬の段階で終わっていたけど、ユンテクの死に乗ずるような売り方をしたくなかったからリリースを今まで延期していたそうです。


2014年6月28日土曜日

シリアルナンバー付の零戦の破片が、真珠湾攻撃記念館に寄付される

AP通信が次のような興味深い記事を配信していました。
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1941年の真珠湾攻撃で対空砲火より被弾、自爆した零戦の機体の一部が、オークションにかけられ、それを落札した男性が、ハワイ・オアフ島の「アリゾナ記念館」に寄付した。

この機体の破片には「5289」というシリアルナンバーが刻まれている。

この零戦は、ヤシの木に突っ込んだ後、カメハメハ要塞の兵器庫の入り口にいた砲兵のグループに衝突したという。その結果、砲兵4人と零戦の搭乗員が死亡した。

この破片は長い間封筒に入れられて保管されていたが、今年3月にeBayでオークションにかけられ、ホノルルの弁護士デイモン・セナハさんが1万2225ドルで落札、23日に「アリゾナ記念館」に寄付した。

情報ソース
http://news.yahoo.com/zero-fighter-part-back-hawaii-73-years-later-205738256.html;_ylt=AwrSyCQXGK5TRikA7VLQtDMD
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……というのが記事の概要です。この記事を読んで私はこの零戦の搭乗員は誰だったのか、と気になり、ちょっと調べてみました。

零戦に関しては現在ではかなり詳細なことまで判明しており、ウェブで調べることができます。




デヴィッド・アイケン氏によると、シリアルナンバー「5289」の零戦は固有機体番号が「AI-154」、1941年8月9日に製造された21型。そしてAI-154は、空母「赤城」の第1次攻撃隊の第2制空隊第1小隊2番機、平野崟(たかし)一飛曹が搭乗していたことが判明しています。

平野一飛曹は第一次攻撃に参加した赤城の零戦隊の唯一の未帰還機。制空隊総指揮官の板谷茂少佐の2番機で、対空砲火に被弾、自爆したことが確認されていて、APの記事の記述ともほぼ一致しているので、搭乗していたのは平野一飛曹でまず間違いないでしょう。

総指揮官の用心棒とでもいうべき2番機を任されていたのですから、平野一飛曹は極めて優秀な戦闘機パイロットだったにちがいありません。開戦初日に対空砲火に被弾して自爆せざるを得なかったのはさぞ無念だったことでしょう。

73年前、自爆して戦死した平野一飛曹、そしてこの記事で初めて知った地上で自爆に巻き込まれて亡くなった4人の米軍砲兵の方々……いろんな思いがわいてくる記事でした。


参考にしたサイト
http://japanese-aviation.forumeiros.com/t37-25-pearl-harbor-raid-akagi-s-fighters
http://www.geocities.jp/hikoki100/ro03-2.htm
http://soranokakera.lekumo.biz/tesr/pdb07.html

2014年3月5日水曜日

2014年3月4日のローリング・ストーンズ東京ドーム公演

4日のローリング・ストーンズの東京ドーム公演に行ってきました。

関節炎を患い、ギターの演奏能力が衰えているキース・リチャーズを見るのは、おそらくこれが最期……そう思うと、見たいような、見るのが怖いような、そんな気分で東京ドームに向かいました。幸いにもアリーナのCブロック、右側からステージがよく見える良い席が手に入りました。

午後7時過ぎ、照明が落ち、パーカッシヴな強烈なリズムのオープニングが流れ、轟音と共に「START ME UP」で開幕。初回、体調が優れなかったキースもこの日は元気いっぱい、笑顔で動き回りながらギターを弾いていた。

でも、もう指が動かないのがハッキリ分った。「IT'S ONLY ROCK AND ROLL」「ANGIE」「GIMME SHELTER」などのイントロを大幅に音数を減らしてた。特にアルペジオが正確に弾けなくなっているみたいだった。キースのフレーズが目立つ場面では、ミックが気遣うように見守っていたのが印象的でした。

ミック・ジャガーのパフォーマンスはまさに圧倒的でした。今まで見た中では一番良かったんじゃないかな。

歳と共に高音が出なくなり、曲の高音部を1オクターブ下げて歌うことは良くあるし、ミックもそうしていたけど、昨日はオリジナルどおりにシャウトしているのを聴いて仰天しました。

広いステージを走りまくり、踊りまくり、観客を煽りまくる70歳のミックを見て、この男は化け物だと思いましたw

節制と鍛錬とそして長年の経験に裏打ちされた驚異的なパフォーマンス。感激しました。

常にバンドをドライヴさせるチャーリー・ワッツのドラムにダリル・ジョーンズのベース。衰えたキースをサポートするロニー・ウッズのギター、どれも素晴らしかった。

メンバー紹介で、ミックは、バックコーラスのリサ・フィッシャーを「オスカー受賞おめでとう」と紹介してた。何のことかわからなくて、帰宅して調べてみたら、彼女が出演した映画「バックコーラスの歌姫たち」が、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を獲得してたんですね。

メンバー紹介では、ダリル・ジョーンズをチャック・リーベルと間違えそうになったり、照れるチャーリーを無理に花道に引っ張っていったりと楽しいシーンが多く、観客に受けていました。

40年ぶりに演奏する「SILVER TRAIN」が聴けたのも思わぬプレゼントでした。

後半の代表曲のオンパレードでは、もちろん大いに盛り上がったけど、一番感動したのはキースのソロパート1曲目「SLIPPING AWAY」。

また新しい日が始り、漂いながら消えてゆく
息を吸う度に、過ぎ去ってゆく
まず太陽が昇り、次に月
どちらかがすぐに昇ってくる。
滑り抜けるように消えてゆく
漂いながら消えてゆく……

全ては時の流れと共に消えてゆくこと穏やかな表情で歌うキースを見ながら、ストーンズに関するいろんなことを思い出し、目頭が熱くなりました。

この曲がリリースされたのは、初来日の前年1989年だったけど、あの時だって、解散同然だったストーンズが突然復活し、最初で最後のストーンズが見られる!って喜んでたんだもんね。

2014年にまさかキースが生きていて、東京ドームで演奏する姿が見られるなんて想像すらできなかった。それを考えれば、今回のツアーはまさに奇跡としか思えない。それを見ることができたのは、長年のストーンズ・ファンとしては至福の体験でした。

昨日のステージの様子、公式にYouTubeで公開されてますね。


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セットリスト

START ME UP
YOU GOT ME ROCKIN'
IT'S ONLY ROCK AND ROLL
TUMBLING DICE
ANGIE
DOOM & GLOOM
SILVER TRAIN (BY REQUEST)(w/ Mick Taylor)
HONKY TONK WOMEN
-INTRO-
SLIPPING AWAY (KR)(w/ Mick Taylor)
HAPPY (KR)
MIDNIGHT RAMBLER (w/ Mick Taylor)
MISS YOU
PAINT IT BLACK
GIMME SHELTER
JUMPING JACK FLASH
SYMPATHY FOR THE DEVIL
BROWN SUGAR
-ENCORE-
YOU CAN'T ALWAYS GET WHAT YOU WANT (w/ Choir)
SATISFACTION (w/ Mick Taylor)



2013年10月12日土曜日

ダイヤモンド警視シリーズの第10弾「Skeleton Hill」



ピーター・ラヴゼイのダイヤモンド警視シリーズの第10弾「Skeleton Hill」。4年前に出版されているのに、いっこうに翻訳が出る気配がないので、ペーパーバックを取り寄せて読みました。

今回はバース郊外のランズダウンの丘で発見された首なしの白骨遺体と、その近くで撲殺されたホームレスを巡るミステリーです。

ランズダウンの丘は清教徒革命中のイングランド内戦で議会派と王党派が激突した戦場で、発見された首なし遺体は、その時の犠牲者ではないかと思われていたのですが、実はほんの20年前のものであることが判明し、ダイヤモンドたちの捜査が始ります。

無関係に見える複数の事件の隠れた関連性を浮かび上がらせて犯人を特定するのはこのシリーズの特徴ですが、今回も真相は実に意外なものでした。

白骨遺体の身元やホームレスの意外な正体などを割り出していく地道なプロセスでは警察小説の醍醐味をたっぷり味わえるし、最期に事件の意外な真相を明らかにするダイヤモンドの推理は実に鮮やか。ラヴゼイの熟練の手腕に思わず拍手喝采です。

ダイヤモンド警視は最初の頃と違って、上層部と衝突することもなく、ふたつの事件の合同捜査部を見事に指揮します。苦手なハイテク機器も何とか使いこなしているw

ジャーナリストから殺人捜査課の刑事に転職したインゲは立派な戦力に成長。警視とはまるで父娘のような雰囲気にすらなっている。前作「処刑人の秘めごと」で登場した新恋人との関係も順調です。

それにしても早川書房はダイヤモンド警視シリーズに見切りをつけちゃったんだろうか。こんなに面白いのになぁ。売れないのかなぁ……

2013年10月8日火曜日

HHhH (プラハ、1942年)

ローラン・ビネの1942年、プラハで起きたナチスのハイドリヒ暗殺を題材にした小説(?)。

ラインハルト・ハイドリヒは、1942年当時、親衛隊のナンバー2で、SDとゲシュタポと刑事警察局を統合した国家保安本部(RSHA)の長官。つまりドイツ国内とその占領地における人々の生殺与奪権を持っていた人物だった。

ユダヤ人絶滅計画の責任者であり、ポーランドやソ連でユダヤ人を大量虐殺した殺戮部隊、アインザッツグルッペン(特別行動隊)の組織者でもある。ハイドリヒは、ベーメン・メーレン保護領副総督としてチェコを支配し、徹底的な弾圧と処刑で《プラハの虐殺者》《金髪の野獣》などと呼ばれていた。

そのハイドリヒを英国のチェコスロバキア亡命軍から選抜されたヨーゼフ・ガブチークとヤン・クビシュがパラシュート降下でチェコに潜入し、1942年5月27日、プラハでハイドリヒを暗殺する。

この《エンスラポイド(類人猿)作戦》とその後のナチスによる壮絶な報復を、ハイドリヒが親衛隊のナンバー2に上り詰める過程、ガブチークとクビシュの生い立ちなどを絡めながら描いているのですが、この小説の特色は、それを書く作者の物語も織り込んでいること。

徹底的に事実にこだわり、絶えず自問する作者の思考や心の動きを、歴史的事実の記述と並列する、一種のメタフィクション(メタノンフィクション?)として構成されている。

書評を読むと、このアプローチは高い評価を得ているみたいですが、私はあまり良いと思わなかった。

過去の事実を再現しようとすると、不明な部分はどうしても書き手が想像で補うしかないのですが、この作者はそれを病的に嫌悪している。

しかし所詮、歴史的「真実」を再現するのは不可能です。限りなく「真実の近似値」に近づくことができるだけ。

その微差に拘泥する作者の方法論の意義は、ナチスという思想とシステムがもたらした人類史上まれに見る悪、ハイドリヒが犯した悪魔的な犯罪行為、民衆が受けた想像を絶する苦痛、そしてハイドリヒを暗殺したパラシュート部隊員やそれを支援した人々の勇気などと比較すると、アンバランスなまでに軽い。空疎な知的ゲームに思えてしまう。

歴史的な事件は、そのディテールとしての事実が重要なのはもちろんだが、それ以上に、なぜそのようなことが起きたのか、そしてその事実から私たちが学べるアクチュアルな、現在的な意味はなにか、ということの方が、はるかに重要だと思う。

この小説、ハイドリヒやエンスラポイド作戦についてあまり知らない人には衝撃的かもしれません。

ちなみに「HHhH」とはHimmlers Hirn hei't Heydrich(ヒムラーの頭脳はハイドリッヒと呼ばれる)の略だそうです。